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 10年春夏のメンズコレクションは、ミラノ、パリに続き、先月はニューヨークで、レディースと同時期に発表され、今月は東京コレクションが開催中だ。NYや東京では、長く重い紳士服の伝統を背負った欧州勢とは違った、スポーティーで軽やか、ポップでカジュアルな服が多く出ている。“新大陸”と“極東”が、男の服の新しい発信源となるのか。

    ◇

 ニューヨークで注目の2ブランドは、ポップとノスタルジーの両極に割れた。

 まずはトム・ブラウン。ショート丈のパンツやジャケットはお約束通りだが、デザインはいたってポップな雰囲気。水玉とトリコロールを基調に、スポーティーなラインを並べた。

 雨音の調べと共に現れたのは、水玉部分が所々切り取られた穴あきコート。インナーが顔を出し、立体的で涼しげな風情を醸し出す。唇に白い口紅でしるしたワンポイントも、遊び心を盛り上げる。トリコロールのシリーズはウエアラブルなピースをそろえつつ、コーディネートで快活さを表現した。例えば極端に短いテニス風ショーツにジャケットとタイをオン。

 3・1フィリップ・リムは、今季初めてメンズ単独でプレゼンテーションを開催した。ピアノの生演奏が流れ、小部屋に分かれた会場はノスタルジックでリラックスしたムードが漂う。

 薄手ニットやシンプルなシャツに、ハーフ丈やすそをしぼった細身のパンツの合わせが中心。ベージュやグレー、あせた紺と色合いもデザインも決して奇抜ではないが、柔らかで落ち着いた上質な日々を約束するかのよう。リムは「男性の壊れやすくて人間性あふれる面を表現したつもり。ビートニクが活動した50、60年代のアメリカを念頭に置きました」。

    ◇

 東京メンズのトップを切ったNハリウッド(尾花大輔)のショーは、火花が飛び散る映像で始まった。

 尾花がデトロイトの自動車スクラップ工場を訪れて着想したテーマは「オート・ジャンクション」。作業着をアレンジした色鮮やかな上着に、足元は厚底のワークブーツ。武骨さを生かしつつ、スタイリッシュな街着に仕立てた。

 ジョン・ローレンス・サリバン(柳川荒士)は、ミリタリーやロシアのニュアンスをにじませた。肩章とベルトが付いた上着にカラフルな細身のパンツを合わせ、金のチェーンでハードさをプラス。他にもメッシュや光沢のある素材も使って多彩に表現した。柳川は「自分が思い描くメンズとは常に力強くあること。その根本は変わらない」。

 ヨシオ・クボ(久保嘉男)もミリタリーを意識した服。テーマは「インテリジェント・ギャングスター」。架空の街に住む知的なはぐれ者たちを「勝手に想像して表現した」と久保。服に描かれた地図は実はジャカード織。細部までこだわった格好良さを追求した。

 今回、初のランウエーショーをしたホワイト・マウンテニアリング(相澤陽介)が見せたのは、ブランドのコンセプトを具体化した都会で着るアウトドアウエア。裏地やポケットなどにポイントを作ったカラフルなパーカ類が軽快な印象を残した。

 ラッド・ミュージシャン(黒田雄一)のテーマは「All Songs Digitally Remastered」。デジタルリマスターされた70年代ロックの名曲を改めて聴いた黒田がその技術に感動し、当時の雰囲気を現代のハイテク素材で表現。雨が降る演出の中、撥水(はっすい)加工したパーカにギターケースを背負ったモデルが列を成す様は迫力があった。

 ワークウエア、ミリタリー、アウトドア、そしてロックと来れば、これまでも渉猟されてきたテーマ。だが、東京の気鋭のデザイナーたちのフィルターを通して、それぞれ新しいメンズに仕上がっている。

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