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 深紅の靴底で知られるフェミニンな高級靴ブランド、クリスチャン・ルブタン。デザイナーのルブタンが先月末に来日し、過去の作品から秀作を選んだ「アーカイブ展」を一夜限り東京で開催した。題して「ルブタンによる晩餐(ばんさん)会」。豪華なディナーテーブルに、「メーン・ディッシュ」として装飾的な靴が並べられた。来春、日本初の専門店オープンも控えた彼に、インスピレーションの源などについて聞いた。(アサヒ・コム編集部 柏木友紀)

 東京・銀座のレストランを借り切って開かれた「晩餐(ばんさん)会」。揺らぐキャンドルの灯にシャンパンと並んで照らし出されたのは、意匠を凝らした眩(まばゆ)いばかりの靴たち。マリー・アントワネットをイメージした鮮やかなシルク刺繍(ししゅう)の一足に始まり、羽根飾りや真珠、ガラスなどの素材を駆使した数々は、確かに足元よりは皿の上に置きたくなるゴージャスな逸品ばかりだ。

 昨年没したイブ・サンローラン最後のコレクション(02年)にルブタンが作製した赤いシルク素材のサンダルや、故マイケル・ジャクソンの追悼番組のために妹のジャネットからオーダーを受けたスダッズ付きひも靴、映画監督デヴィッド・リンチとのコラボレーションシリーズと、エピソードは枚挙にいとまがない。

 マドンナやアンジェリーナ・ジョリーといったハリウッド女優から、モナコ王女ら世界の王族までを顧客リストに持つルブタン。その優雅なデザインの源はどこから? 

 「旅が好き。例えば今年、シリアで見たダマスク織を10年春夏コレクションに採り入れました。皇帝に献上されるため織り上げられる職人の手仕事は、現代のテクノロジーやギラギラした輝きとは正反対の暖かさがあります」。京都では桂離宮や金閣寺、銀閣寺などに感銘を受け、ぼかし染めも靴に採り入れた。

 労働者階級が多く住むパリ12区の出身。母親と3人の姉妹に育てられ、ミュージックホールやナイトクラブにも早くから出入りした。これらの経験が女性への畏敬の念となり、ファッションの世界を志すようになる。靴を志すことを決定付けたのは、パリのアフリカ美術館にあった「ハイヒール禁止」の立て看板だ。寄せ木造りの床を守るための注意書きだったが……。

 「シャープな50年代風のヒール靴に鮮やかな赤の絵の具で/(斜線)が引かれた絵は、フラットシューズ全盛の70年代には衝撃的だった。なんて繊細で美しいフォルムなのだろうと。このイメージが頭に残り、後に赤い靴底に至ったのかもしれません」

 階段を下りる時、足を組んだとき。靴底が見える機会は意外に多い。「けれど、表面に比べて全く気を使われていないのは不公平」と、フェミニティや愛のシンボルである「深紅」に塗った。

 ハイヒールを履くと女性は換わるという。脚線美だけでなく、全体のシルエットも靴次第とも。それだけに、どんなにデザインがよくても、その靴が足に合わなければすべてが台無しだ。

 「靴は女性にとってボディーランゲージのひとつ。その日の気分や人となりを伝えるものです。女性に育てられ、女性を敬愛する僕だからこそ、靴作りができるのです」

 来年2月、東京の松屋銀座デパートに日本初の専門店をオープンする。

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